抄録集35ページ
ワークショップ1−4(WS1-4)
千葉県における超音波併用乳癌検診の現状
橋本秀行、梶原崇恵、渡邉美香、榊朋子、簗瀬由美子、大下あけみ、
鈴木圭子、早田篤子、立花美津子、小出優子、大木洋子、桑原竹一郎
ちば県民保健予防財団がん検診センター
【目的】乳癌の罹患率や死亡率の上昇に伴い早期発見の意義はますます大きくなっている。日本人の年齢別罹患率をみると40歳代後半にピークがあり、この年代の検診方法には大きな課題が残っている。マンモグラフィでは高濃度乳腺の割合が多いため、腫瘤を形成しているような浸潤癌の検出は難しいことも少なくない。その点、超音波検査では、石灰化の診断には劣るものの、腫瘤性病変に関しては年齢に関係なく適していると考えられる。そこで、当検診センターでは千葉県において視触診単独検診を行っていた50歳未満の受診者に対し、超音波併用検診を開始したので報告する。
【対象と方法】平成14年度、19市町村4,759名に対し、超音波診断装置を搭載した検診車を用いて両側全乳房2方向スキャンを行った。読影は静止画像を用いて日本乳腺甲状腺超音波診断会議(JABTS)検診班案の要精査基準を使用し、カテゴリー3以上を要精検とした。
【結果】要精検者411名、要精検率8.6%、発見乳癌13名、癌発見率は0.27%であった。同時期に行われた視触診単独検診の発見率は0.08%であった。今回発見された乳癌症例中、非浸潤癌が5例(38.4%)もあり、全例非触知、さらに1例を除きマンモグラフィでも所見を認めなかった。
JABTS総会ではUS検診の初年度報告をするとともにその有効性や問題点を提議したいと考えている。