抄録集P50〜P51
JABTS11th Meeting,Utsunomiya,October 11-12,2003
演題番号 NT-1
新技術セッション 1
乳腺疾患におけるElastographyの臨床応用
筑波大学付属病院乳腺甲状腺内分泌外科1)、筑波大学臨床医学系2)、筑波大学電子・情報工学系3)、日立メディコ技術研究所4)
伊藤 吾子1)、植野 映2)、東野 英利子2)、椎名 毅3)、山川 誠3)、新田 尚隆3)、松村 剛4)、玉野 聡4)、三竹 毅4)
目的;従来より超音波検査にて病変の硬さを調べるためにdynamic testが行われていたが、判定は検者の主観によるものであった。今回我々はリアルタイム組織弾性映像システムを用い、乳腺疾患のelastogramを撮影し、病理組織学的所見と比較することによりElastography臨床応用の有用性を確認することを目的とした。
方法;デジタル超音波診断装置専用改造型(HITACHI EUB-6500 7.5MHz)と外部PCで構成した組織弾性映像システムを用いた。乳腺疾患に対し専用プローブにて圧迫を加えている時と、圧迫を解除している時に、弾性画像を動画で観察した。最も安定したデータの取得できる圧迫初期の弾性画像所見を以下の5段階で評価し、病理組織学的所見と対比した。
弾性スコア1;Bモードにおける低エコー域全体に歪みが生じる
2;Bモードにおける低エコー域の一部に歪みが生じない
3;Bモードにおける低エコー域の辺縁部にのみ歪みが生じる
4;Bモードにおける低エコー域全体に歪みが生じない
5;Bモードにおける低エコー域とその周辺まで歪みが生じない
結果;浸潤性乳管癌では弾性スコア4および5を示すものがほとんどでありスコア1を示すものはなかった。非浸潤性乳管癌では弾性スコアは1から5を示した。
線維腺腫では弾性スコア1および2を示すものが多かったがスコア3,4を示すものもあった。乳腺症では弾性スコア1を示すものが多く、スコア4,5を示すものはなかった。
結語;乳腺疾患においてElastographyは圧迫初期の弾性スコアを用いることにより、術前超音波診断の手段として有用であった。