■ 学会長挨拶


第19回日本乳腺甲状腺超音波診断会議
会長 福成 信博
(昭和大学横浜市北部病院外科 准教授)

第19回日本乳腺甲状腺超音波診断会議を開催するにあたって

日常診療における超音波の持つ役割は、乳腺・甲状腺疾患においては、今や触診以上の価値が見出せる環境となってきました。触知困難な病変がスクリーニングの時点で診断される局面も日常茶飯事の事となっています。超音波機器の進歩も目覚しく、これまで開発、臨床応用をされてきた先達の方々に改めて感謝の念を抱いております。そのような環境のなかで、今回は乳腺と甲状腺それぞれから各学会を代表する高名な先生方から特別講演をしていただく機会がもてました事を学会本部を代表して御礼申し上げます。乳腺からは東北大 大内教授をお招きして「がん対策のための戦略研究:J-START」の特別講演です。超音波併用乳がん検診の戦略的研究がスタートし、超音波診断基準、機器精度、教育といった現実問題が直前に迫ってきており、JABTSとしても大きな変革の時代を迎えたものと考えています。また、甲状腺からは、帝京大学 高見教授をお招きして、「画像診断の進歩にともなった治療戦略の変遷」のご講演を賜ります。Internationalな内分泌外科医の立場から見た貴重なご意見を伺えるJABTSとしては、またとない機会と考えております。

私が専門とする甲状腺の分野においては、超音波にてあまりに多くの病変が発見され、その臨床的対応に現場は混乱しているのが現状です。どの程度までを要精査とすべきか?FNAの適応基準は?微小乳頭癌における外科手術適応などの問題です。辛辣な意見の先生方からは、触診できない小さな病変においては、超音波は不要であるといわれたこともあります。今回の学会のテーマとして“新たな超音波診断の可能性を信じて” Belief in Brightness of Ultrasonologyとしたのは、こういった現状に対して、診断基準、ガイドライン、新技術、Interventionなどを通して、このJABTS19で今の超音波診断の現状を評価するとともに、新たな可能性を追求したいと考えているからであります。

今回のJABTS19は、検診に関する乳腺シンポジウム、甲状腺Workshopを行うと共に、新技術に関するSessionや乳腺InterventionのWorkshopを多くの先生方のご協力の下に立ち上げることができました。現状の適切な評価、今後の課題が明らかとなるような特別企画でありたいと考えております。

また、今回は奇しくも韓国より2名の先生をInvited Speakerとしてご招待しました。Dr. Moonは乳腺の最新超音波診断、Dr. Baekからは甲状腺RF治療のご講演を頂くこととなりました。特に甲状腺RFの講演は、本邦で始めてのTopicであり、豊富な御経験を伺うことのできるまたと無い貴重な機会ですので、是非、ご参加ください。

今回は、教育セッションや文化的講演を持つ時間的な余裕がありませんでしたが、専門性に富み、最新の情報を集約した多くの特別企画が行われます。参加される皆様には充実したJABTSならではの2日間を楽しんでいただけるものと思っております。更に、翌10月9日(月)は祝日であり、学会後にはさわやかな海風が吹く横浜を満喫していただければ幸いです。最後に、私の体調不良から十分な準備ができず困っていたところを、JABTSの多くのメンバーの方からの暖かい励ましで、この会を開催することができましたことを、心から感謝し、ご挨拶といたします。

皆様と横浜でお会いできるのを楽しみにしております。

第19回日本乳腺甲状腺超音波診断会議 会長

昭和大学横浜市北部病院 外科 准教授

福成 信博